難聴とは

難聴についてのイメージ写真

「難聴=きこえにくいこと」はどの年代でもおこりうる症状です。
音は耳(耳介)から鼓膜、耳小骨から蝸牛に伝わりそこで音が電気信号に変換され、脳に伝わりそこで「音」として感じているといわれています。

難聴の種類

難聴は障害されている部位によって

  • 伝音難聴…外耳、中耳の異常
  • 感音難聴…内耳、蝸牛神経、脳の異常
  • 混合性難聴…上記二つが合わさった状態

に分類されます。

幼少期では、生まれつきの難聴だけでなく中耳炎(急性、慢性)やウイルス(おたふくかぜのウイルスなど)による難聴だけでなく、耳垢が耳栓のようにつまった状態になっても聞こえが悪くなることがあります。
これらの疾患は耳鼻咽喉科での耳の診察が診断にとても重要です。

それ以降の年代ですと、ある日突然急に聞こえが悪くなる突発性難聴、めまいを伴うメニエール病などが代表的な疾患として挙げられますが、これらの疾患は薬物治療が有効といわれております。
近年では、Web会議、イヤホンやコンサートなど大音量で音楽を聴くことによって、蝸牛の中にある「有毛細胞」という音を感じる細胞が傷ついて生じるイヤホン難聴・ロック難聴(音響外傷/騒音性難聴)が若年者の難聴として増加しているといわれており、WHO(世界保健機関)では世界の12歳~35歳の人口の約半数にあたる11億人が将来的に難聴になるリスクにさらされていると警鐘をならしています。これらには、予防、発症時の適切な検査と治療が大切です。
その他の難聴の原因として、稀な疾患ですが神経に腫瘍ができることによる難聴(聴神経腫瘍)や、鼻かみや気圧差で蝸牛に穴があくことによる外リンパ瘻などがあげられます。

加齢性難聴はご年配の方の難聴の原因の大半をしめます。主に有毛細胞の障害による難聴で、残念ながら根本的な治療はありませんが、コミュニケーションに支障が出るようであれば、早期に対策することが望ましいです。
というのも、2017年国際アルツハイマー病会議(AAIC)において、「難聴」が認知症の危険因子の一つに挙げられており、また難聴によりコミュニケーションがうまくいかなくなると、人との会話を避けるようになってしまい、「フレイル(身体的、精神的、社会的に弱くなってしまうこと)」、「うつ状態」のリスクにもなり得るともいわれております。

加齢性難聴には補聴器が有効です。
補聴器を付けることに抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、正しく効果的に補聴器を使用することでご家族や友人とのコミュニケーションを楽しむことができ、QOL(生活の質)を保ち、認知症の予防にもつながります。
(補聴器については「補聴器による脳のリハビリテーション」の項目を参照してください。)

難聴の原因は様々で、原因によっては早期に治療しないと治療効果が下がってしまう疾患もあります。
聞こえに異常を感じたら、放置せずに耳鼻咽喉科での診察をうけられることをお勧めいたします。